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ネスレ配転拒否事件~パワハラ被害者勝訴判例

パワハラ概要

被害者Bは、配転拒否後異議をとどめて赴任するまでの1年近くの間、会社側は被害者Bから仕事を取り上げ、席を管理職の前に移動するするなどして、終日、被害者Bの動静を監視させ、様々な嫌みを言ったり、トイレに行くのにも嫌がらせを言うなどし、被害者Bは精神的・肉体的苦痛を受けたと主張した。

会社に対して、配転命令に基づく勤務場所において勤務する義務のないことの確認、および、不法行為による損害賠償請求に基づく慰謝料の賠償を求めた。

この裁判では、もうひとり被害者Aも同時に会社を訴えており、被害者らは労働組合のひとつである第一労働組合の組合員であり、被害者らに対する配転命令は、第一組合を否認する会社側が、被害者らを本社から隔離し、屈服させるためになされたものであり、それは不当労働行為であり無効であると主張した。

裁判の結果。慰謝料額

一部容認(配転命令の違法性は認められなかった)

(>>被害者Aの裁判結果は何も認められなかった

判旨(嫌がらせ、配転命令の有効性)

○会社の嫌がらせによる不法行為の成否について

昭和57年10月1日以降の仕事の取り上げと、様々な口頭による嫌がらせや、また、被害者Bの机と他の課員との机との間にキャビネットをおいて他の社員と隔離するなどの嫌がらせについては、組合が抗議、団体交渉の申し入れをしたにもかかわらず、会社側は何度もこれを無視し続けた。

これらの措置は、被害者Bに精神的苦痛を与えることを目的とした措置であるというべきであり、配転の意向打診、説得の域を逸脱した社会通念上許容しがたいものであると言わざるを得えず、不法行為を構成するものである。

よって、仕事の取り上げと嫌がらせによって被害者Bが被った精神的苦痛に対する慰謝料としては金60万円と認めるのが相当である。

○配転命令の効力について

配転当時は、被害者Bが所属する資材課においては、業務の効率化簡素化によって課員1名の余剰が生じており、配転先となる明石出張所においては、女性事務員を必要とする事情があった。また、資材課の2名の女性従業員のうち、被害者Bの自宅のほうが明石出張所に近く徒歩通勤も可能であったことから、配転命令には業務上の必要性があったと認められる。

また、配転によって、被害者Bが格別の不利益を受けたと認めることはできず、不当労働行為に当たると認めることはできない。

よって、配転命令は無効であるという被害者Bの主張を認めることはできない

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