平成22年労働基準法の改正
月間60時間以上の残業に対しては割増率が引き上げられました(中小企業は適用除外)
- 改正点1 時間外労働の削減
- 改正点2 法定割増賃金率の引き上げと代替休暇制度
- 改正点3 年次有給休暇の時間単位取得
- 改正の適用を受けない中小企業とは?
改正点1 時間外労働の削減
「時間外労働の限度基準」(平成10年労働省告示第154号:限度基準告示)に より、限度基準を超えて時間外労働を行う場合には、あらかじめ労使で 特別条項付きの時間外労働協定を締結する必要がありました。
通常の限度時間 |
変形労働時間制の限度時間 |
|
1週間 |
15時間 |
14時間 |
2週間 |
27時間 |
25時間 |
4週間 |
43時間 |
40時間 |
1箇月 |
45時間 |
42時間 |
2箇月 |
81時間 |
75時間 |
3箇月 |
120時間 |
110時間 |
1年間 |
360時間 |
320時間 |
これに、新たに、
- 特別条項付きの時間外労働協定(36協定)では、限度時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること
- 1.の率は法定割増賃金率(25%)を超える率とするように努めること
- 限度時間を超える時間外労働をできる限り短くするように努めること
が、必要となります。
改正点2 法定割増賃金率の引き上げと代替休暇制度
- 月60時間を超える法定時間外労働に対して、使用者は50%以上の率で計算した割増賃金を支払わなければなりません(25%から50%への引き上げ)
- 事業場で労使協定を締結すれば、1か月に60時間を超える時間外労働を行った 労働者に対して、改正法による引上げ分(25%から50%に引き上げた差の25%分)の割増賃金の支払に代えて、有給の休暇を付与することができます。
(この有給の休暇を取得した場合でも、現行の25%の割増賃金の支払は必要。有給の休暇を取得しなかった場合には、50%の割増賃金の支払が必要)
ただし、中小企業に関しては、この制度が「猶予」されています。中小企業に該当するかどうかはこちらで確認してください。
改正点3 年次有給休暇の時間単位取得
日単位でしか取得できなかった年次有給休暇が、事業所で労使協定を結ぶことによって、1年に5日分を限度として、「時間単位」で取得できるようになりました
労使協定で定める事項
- 時間単位年休の対象労働者の範囲
- 時間単位年休の日数
- 時間単位年休1日の時間数
- 1時間以外の時間を単位とする場合の時間数
ただし、中小企業に関しては、この制度が「猶予」されています。中小企業に該当するかどうかはこちらで確認してください。
改正の適用を受けない中小企業とは?
法定割増賃金率の引き上げと代替休暇制度、年次有給休暇の時間単位取得の改正については、中小企業に関しては、この制度が「猶予」されています。中小企業に該当するかどうかは、業態によって、以下のように資本金と常時使用する従業員数で判断されます。
- 小売業・・・
資本金の額 5,000万円以下、または、従業員50人以下 - サービス業・・・
資本金の額 5,000万円以下、または、従業員100人以下 - 卸売業・・・
資本金額1億円以下、または、従業員100人以下 - それ以外・・・
資本金額 3億円以下、または従業員300人以下