不当解雇の対処法
- 不当解雇されないために~日常生活時の注意事項
- 不当解雇されないために~個人面談時
- その”解雇”は、有効か?
- 労働条件の不利益変更を受けた場合
- 会社が勝手に退職に関する金銭を振り込んできた場合
- 退職しようと決めたらやること
突然の不当解雇にあいそうになったら、これから、自分がどうやって会社と戦うのか?
もし、辞めるのなら、いかにいい条件で会社をやめるのか、少し、考えてみましょう。
不当解雇をされないために~日常生活時の注意事項
退職勧奨を受けるようになったら
自分に、辞める意思がないときは、絶対に退職届は書かないこと。「とりあえず」とか、「預かるだけだから」、などという言葉にのせられて、簡単に退職届を書いてしまってはいけません。あなたが同意しない限り、退職勧奨によって、一方的に退職させられることはないのです。
ですから、おかしいな、と思ったら、退職勧奨・希望退職募集・ほのめかし・勧告文書の提示なのか、解雇通知・解雇通告なのか、必ず確かめて、書面にしてもらうようにして保管してください。
また、解雇通知・通告でもないのに、限度を超えての嫌がらせや、退職勧奨は、損害賠償の対象になるので、後々のためにも、メモ・テープ・写真など、証拠になりそうなものは、すべてとっておきます。日記を書き始めてもよいでしょう。
必要になったときに、不当解雇を証明できるように、その証明になるものはすべて、残しておきます。
そして、必ず、出社しましょう。
退職勧奨には、強制力はありません。ですから、きちんと、退職の意思がないことを会社に伝えるため、内容証明郵便は、とても有効です。
また、書きたくなかったのに、退職を迫られ、退職届を書いてしまっても、あきらめるのはまだ早いです。会社側の退職勧奨の言動が、強迫や詐欺や錯誤を引き起こすものだった場合、あなたの退職届けの意思表示には瑕疵(”かし”と読みます。間違い、欠陥という意味)があったとして、その無効や取り消しを主張できます。これも、内容証明郵便で出します。あなたが本意で退職届を出したもではないことを表明する、大事な証拠です。
不当解雇されないために~個人面談時
退職を迫られるような、個人面談の場合
不当解雇をされないためにも、会社側が言ったこと、自分が言ったことをメモし、会社側に内容を再確認させます。
退職や労働条件の切り下げには、絶対に「わかりました」とは言わないこと。ハッキリと断るか、それができなければ、「考えます」とだけ、答えましょう。感情的にならないことは、言うまでもありません。
退職勧奨は、あなたを辞めさせる強制力はありません。たとえ、”もう、辞めてもいいかな”と思ったとしても、即決しないでください。辞めたければ、いつでも辞めれるわけですから、あせることはありません。
内容証明郵便で辞めない意思をはっきり伝えよう
絶対に辞めたくない場合、解雇通告でもないのに、しつこく退職をせまられたら、辞めない意思をはっきりと、内容証明郵便にして、会社側(人事部)に伝えます。
書面で意思表示をするだけで、嫌がらせや、退職勧奨がなくなったり、会社の反応も変わってきます。それでも嫌がらせ等がおさまらなければ、慰謝料請求や、損害賠償請求の証拠集めをしましょう。
その”解雇”は有効か、調べてみる
不当な解雇ではないか?
解雇には普通解雇、整理解雇、諭旨解雇、懲戒解雇など、解雇事由が明確な場合は会社にその権限があるものがあります。しかし、それらの理由なしに退職を迫られる場合は、すべて「不当解雇」となります。
不当解雇を強要されたら
あなたに非がないのに一方的に解雇だ。というのなら、働き続けるという意思表示をした上で、労働組合やユニオンなどに相談するのもひとつの手です。改善の可能性がある場合、解雇無効になった判例もあります。内容証明郵便で解雇権濫用を理由に解雇撤回の申し入れをしてもよいでしょう。
まずは、以下の3つを行ってください。
- 解雇理由を明記した、解雇通告を文書で提出させる
- 解雇の具体的事実を、書いてもらう
- 就業規則の”退職に関する事項”の、どの項目を根拠にしているのか、説明を求める
労働条件の不利益変更を受けた場合
労働条件の不利益変更には、就業規則の変更や個別面談が必要な場合があります。
降格、減給、配置転換や転勤の命令があったら
- どのような根拠によるものなのか、明確にさせる。
- 不利益変更なら、違法なので、一方的に拒否せず、「話し合いをしたい。」という、意思表示をする
- 会社が話し合いに応じなかったり、命令を撤回しなかった場合は、内容証明郵便で自分の主張(不当解雇拒否の報復不利益変更だという旨)を伝え、組合に相談する。
- とりあえず、命令にしたがった上で、継続して交渉する。
出向・転籍
出向や転籍は、本人の同意が必要です。
在籍出向の場合、就業規則や協約に”出向を命じる”規定があれば、それをもって、同意とみなされますが(かなり細かい規定が必要)、原則は本人の同意が必要です。出向や転籍によって、労働条件がかなり違う場合、無効となるケースもあります。
必ず、文書化した条件をチェックすること(戻ってきたときの処遇や期間のことなど)。ただし、会社分割に伴う場合は本人の同意なしで転籍させることはかまわないとされていますので、注意が必要です。
業務命令について~労働基準法の解説
労働契約継承法(会社分割時の身分)
一時休業
休業協定書を作成させます。(会社vs労働組合(or過半数の代表者))休業期間、対象者、手当の支払基準、復職条件、その他の雑則をとりきめます。手当は60%は会社負担ですが、雇用調整助成金を受けてもらい、なるべく100%もらえるようにしてもらいましょう。雇用調整助成金は公共職業安定所へ届出てもらうものです。
まとめ
業務命令が不当であることを、裁判(配転命令無効確認の訴えなど)で争うこともできますが、その場合、労働者側に相当の理由が求められます(寝たきり両親を自分だけで世話をしているなど。)
退職勧奨の性格の強い出向命令を拒否したら、懲戒解雇される場合がありますが、この解雇は裁判で無効になる可能性大です。この場合も、根拠を文書で提出させたり、会社側の言動をメモしたり、テープにとったりして、証拠を集めます。
会社が勝手に退職に関する金銭を振り込んできた場合
不当解雇を受け入れていないのに、会社が一方的に解雇予告手当や退職金を振り込んでくる場合がありますが、内容証明郵便で「不当解雇を受け入れるつもりはない」意思表示をして、退職金は返します(預かっておく、ということでも可)。
退職金以外は、賃金の一部として受け取ってもかまいません。しかし、必ず、”賃金の一部として受領する”旨を領収書に明記します。勝手に渡された離職票はもらってもかまいませんが、解雇受け入れでない意思表示をしておきます。
退職しようと決めたらやること
「合理的な理由もなく社会通念上も相当と認められない場合、企業は解雇権を行使出来ない」という、解雇ルールとともに、企業の就業規則に解雇理由を明記させることや、実際解雇を裁判で争っても、職場復帰は難しいことが多いので、職場復帰の代りに一定金額を企業に支払わせるよう、裁判所に請求できるようになりました。
自分を必要としていない会社は退職しよう、という気持ちになったら、なるべく良い条件で辞めることができるように、交渉しましょう。
解雇予告手当
解雇予告なしで即日解雇した場合、解雇前3ヶ月の平均賃金(ボーナスは除く)の30日分を払わなければならないとされています。また、解雇通告から解雇日まで30日未満の場合も、30日に足りない分は支払わなければなりません。必ず請求しましょう。
退職金(上積額)
「規定の退職金の○割増し」という条件が決まっていたとしても、さらなる上乗せを要求します。(ダメもとで多少の無理を言ってみる)
数ヶ月分の賃金の保障
転職活動の期間を有給扱いにしてもらう(3か月くらい)
そもそも、不当解雇だということであれば、それを受け入れる代わりに金銭を補償してもらう。
再就職先の斡旋
斡旋してもらえるなら、してもらいましょう。
離職票の退職理由
「会社都合による退職」と書いてもらう(失業保険金の受取りに影響するから。)
もちろん、「解雇」でもOK。
退職日
ボーナス・退職金の取扱いや、失業保険金をなるべく有利にもらえるように会社の規則や年齢、在籍年数など、調べて決めましょう。
有給休暇
残っている有給休暇は買い取りをしてもらう。
雇用保険(失業保険)の受給資格
自己都合退職では失業保険の給付までに3ヶ月の給付制限期間が設けられており、また給付日数も会社都合による退職者より少なくなりますので、離職理由には、必ず「会社都合」と記載してもらいましょう。
雇用保険の決まり事(「自己都合退社」と記載されても給付制限期間なしでもらえる場合がある)
-不当解雇Q&A-
一方的な解雇では?