訪問介護サービスと家政婦サービスの区分
働く人にとって、訪問介護サービスと家政婦サービスのちがいは、どのようなものでしょうか。労働基準法の適用や保険適用など違いを知っておきましょう
訪問介護サービス
訪問介護サービスを行うホームヘルパーは、利用者の自立を支援することを目的として、利用者宅で「身体介護」「家事援助」を行います。
「家事援助」は利用者本人の援助が原則です。しかし、この「家事援助」に関して同居家族がいる場合、ホームヘルパーを家政婦代わりに利用していると問題になることがあります。
家族が「より多くの時間を世話に回す」ため、「共有部分の住居の掃除」や「家族のための食事の用意」「子供の世話」をヘルパーに依頼した場合、そのことでより多くの時間を家族が介護に使えるならば、結果として介護を受ける人の「自立支援」につながるという考えもあります。
現在では、家事援助は介護を受ける人のみの生活援助であり、共有部分住居の掃除や家族の食事の用意などはしません。
登録ヘルパーは労働者です
訪問介護サービスを行う登録ヘルパーは、「家事使用人」とは違い、雇用される「労働者」です。そのため、労働基準法が適用されます。登録ヘルパーが、社会保険・雇用保険の被保険者となるかどうかは、就労時間が基準を満たすかどうかで決まります。労災保険は、たとえ就労時間や日数が少なくても、その仕事中に事故にあえば、通災や業務上災害補償の対象になります。
訪問介護サービスと家政婦サービスの区分
訪問介護と家政婦業務は併用して利用することもできます。ホームヘルパーと家政婦が別々の人である場合は問題ないのですが、1人でそのどちらをも行う場合には少し問題になることがあります。以下のように保険支給などに関わってきますので注意が必要です。
- 「住み込み」の1人の家政婦が、一日に4時間は「訪問介護員」、20時間は「家政婦」として家事や介護のサービスを行う場合は、サービス内容が明確に区分できません。そのため、訪問看護費用の算定ができず、介護保険からの支給を受けられません。
ただし、平成17年9月より、条件付で住み込みも可能となりました。 - 利用者宅に「通勤」する勤務形態をとっている家政婦の場合で、訪問介護のサービス内容が明確に区分して居宅サービス計画(ケアプラン)に位置付けられ、「訪問介護」と「家政婦」としてのサービスが別の時間帯に別のサービスとして行われる場合に限って、当訪問介護に要する所要時間に応じて訪問介護費を算定できます。