ボーナス(賞与)請求のための、労働基準法ダイジェスト
ボーナス(賞与)の知識
ボーナスには、法律の規定がありません。支払方法や金額は会社の次第です。しかし、労働者がボーナス(賞与)を受け取れるのか否かがはっきりとしていないのでは、住宅ローンの返済方法も決めることができませんし、生活自体も安定しません。
ですから、労働基準法にある「賃金」と同様に扱うことができるボーナスというものがどういうものなのか知っておく必要があります。事業主の「気持ち」という「寸志」などとは異なります。
賞与(ボーナス)が賃金として扱われる場合
- 就業規則・労働協約などで、支給条件・支給率・支給日が決められていれば、「法律上も、賃金として認められる」
- 労働契約時に書面(メール)で受け取っている「労働契約書」に、「賞与が有る」と記載されている
- 毎年、恒例で支払われている(慣行が成立しているとみなされ、賃金として請求することができます)
会社の裁量権
支給日前に退職してしまうと、ボーナス算定期間には勤めていたとしても、支払われない場合があります。賞与(ボーナス)については、法による定めがないことから、ボーナスの意味合いも会社によって異なっています。
不当解雇にあう場合、賞与日前に突然解雇される場合が多々ありますが、ボーナスの意味合いが将来に対する期待ではなく、これまでの実績に対しての報酬という意味を持つ場合は、日割りで請求してみましょう。
支給日前に自己都合退社する場合は、「ボーナスは支給日に在籍していること」を、条件としているか、ボーナスを日割りで受け取ることができるかを、確認するようにしましょう。
それによって、もし、退職日を変更できるのであれば、ボーナス日のあとに退職するようにしましょう。
ボーナス(賞与)未払いの請求手順
ボーナスが、「賃金」として請求できるものであった場合、未払い給料として、請求します。ボーナスの請求権は、「賃金」と同じ2年で時効になりますから、早めに対応しましょう。
ボーナスカットの対処法
- ボーナス支給が明記されている資料(労働契約書(賞与の有無についての記載が義務づけられています)、就業規則、労働協約など)にボーナス支払が明記されているか、確認。
明記されていないが慣例・慣行になっているなら、それらを疎明できる資料を整える。 - ボーナス支給額の計算方法なども明記されていれば、未払い分について計算をする。
- 内容証明郵便でボーナスの支払いについて請求をする
- 支払いが行われないようであれが、内容証明郵便の謄本(会社に請求した内容証明郵便の保存用のもの)、ボーナス払いの請求根拠資料を持って労働基準監督署へ相談にいく
- 小額訴訟、通常訴訟など司法の場で請求
パートやアルバイトへのボーナス支給
現実には、働きの良いパート、アルバイト、契約社員さんたちにボーナス支払いをしたいと考えている社長さんは多く存在します。
パート・アルバイトさんとの労働契約締結時には、必ず「労働契約書」を書面またはメールなどで交付されているはずですから、それを確認し、「賞与」の支給の有無を確認しましょう。
業績が悪くなったときにもパートアルバイトに賞与支払い義務が発生してしまうので、就業規則、労働協約、労働契約書の中でボーナス支給を規定するといことは、まれだと思いますが、もし、「賞与支給有り」と記載されていたら、正社員などと同じように、会社にボーナス支払いを請求していくことができます。
残念ながら、書面にない場合、慣例になっているかどうかという判断になりますが、こちらも、慣例にならないように過去に支払われていたボーナスは、「寸志」「心づけ」などの名目であることが多いです。